エスプレッソのクレマとは?味や香りを左右する“泡”の正体と楽しみ方
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大阪 阿倍野・西日本一高いビル 天王寺 あべのハルカスの麓で美味しいコーヒー店を営業しておりますcoffee kissa パールズです。
カフェでエスプレッソを注文したとき、表面に浮かぶきめ細やかな泡「クレマ」に気づいたことはありませんか?このクレマ、実はエスプレッソの品質や味わいを左右する大切な存在です。
本記事では、クレマとは何か、その役割や美味しいクレマを楽しむためのコツについて、わかりやすく解説していきます。
エスプレッソの「クレマ」とは?

1. クレマの定義と役割
「クレマ」とは、エスプレッソの表面に浮かぶきめ細やかな泡の層を指します。抽出直後に、カップの上部にふんわりと広がるその黄金色の層は、見た目にも美しく、まるでビールの泡のような役割を果たしています。
実はこのクレマ、ただの泡ではありません。コーヒー豆に含まれる油分や炭酸ガス、そして微粒子が高圧で抽出されることで形成される、エスプレッソ特有の特徴なのです。このクレマがあることで、エスプレッソの香りがふわっと立ち上り、口当たりにも奥行きが生まれます。
2. クレマが美味しさの指標と言われる理由
バリスタの間では「良いクレマは、良いエスプレッソの証」と言われることもあります。なぜなら、クレマの状態には豆の鮮度、焙煎の度合い、抽出技術がすべて反映されるからです。
たとえば、豆が古くなればクレマは薄くなり、泡立ちにくくなります。また、抽出時間が短すぎても長すぎても、理想的なクレマにはなりません。言い換えれば、クレマは「コーヒーの健康診断書」のようなもの。良いクレマがあれば、それだけでエスプレッソの出来がある程度わかるのです。
3. クレマができるメカニズム
エスプレッソを淹れる際、専用のマシンで9気圧以上の圧力をかけて短時間で抽出します。このとき、コーヒー粉の中にある油分と微細な粒子、そして豆に含まれる二酸化炭素が一気に押し出されて乳化し、クレマを形成します。
この乳化現象によって生まれる泡は非常にきめ細かく、時間が経つとゆっくりと沈んでいきます。逆に、抽出時の圧力や温度が不適切だと、クレマが出にくくなる、もしくは粗くなり、すぐに消えてしまうのです。
クレマの質でわかるエスプレッソの違い

1. 良いクレマ・悪いクレマの見分け方
良いクレマとは、きめが細かく、色が均一で、厚みのあるものを指します。理想的な色合いは、キャラメルブラウン〜ヘーゼルナッツ色で、表面には「タイガースキン」と呼ばれる模様が出ることもあります。
一方で、悪いクレマは薄く、泡が粗くて白っぽく、すぐに消えてしまいます。クレマがすぐに消えるということは、豆の鮮度が落ちているか、抽出条件が悪い可能性があります。
2. 抽出条件がクレマに与える影響
クレマは非常にデリケート。抽出の条件が少しでもズレると、途端に質が落ちてしまいます。
たとえば、粉の挽き目が粗すぎると圧力がかからず、クレマが薄くなります。逆に細かすぎると抽出に時間がかかりすぎて苦みが強くなり、泡立ちにもムラが出ます。また、使用する湯温が低すぎてもクレマの形成は不十分になります。
3. クレマの色・厚さ・持続性をチェックしよう
クレマの観察ポイントは3つです。「色」「厚み」「持続性」。色はキャラメル〜こげ茶のグラデーションが理想的。厚みは1cmほどあるとベストで、少なくとも5mmは欲しいところです。そして、カップに注がれた後も1分以上持続するなら、それは上質なエスプレッソの証。
この3点を意識することで、日常のエスプレッソタイムがぐっと楽しくなります。
自宅でクレマを楽しむコツとおすすめの豆

1. 家庭用マシンでクレマを出すためのポイント
家庭用エスプレッソマシンでも、ポイントを押さえればクレマをしっかり出すことができます。
まずは「挽きたての豆を使う」ことが何より大切。市販の粉ではガスが抜けてしまっており、泡立ちにくくなります。また、豆の挽き方も重要で、家庭用マシンに合わせたやや細かめの設定が理想です。
タンピング(粉を押し固める作業)も忘れずに。しっかりと均一に押し固めることで、圧力がきちんとかかり、理想的なクレマが生まれやすくなります。
2. クレマを引き立てるおすすめのコーヒー豆
クレマを楽しむには、中深煎り〜深煎りの豆がおすすめです。特に、エスプレッソ用に焙煎・ブレンドされた豆は、油分が豊富でクレマが出やすくなっています。
当店では「バリスタブレンド(深煎り)」や「クラシックエスプレッソ(中深煎り)」といった商品が人気。いずれもクレマがしっかり立ち、濃厚な味わいが口いっぱいに広がります。
3. クレマを楽しむアレンジドリンクアイデア
クレマをそのまま楽しむのも良いですが、少し工夫するだけで「見た目も映えるアレンジ」が可能です。
たとえば、クレマがしっかり立ったエスプレッソに、スチームミルクを注いで作る「マキアート」や、ふわっと甘い泡をのせる「アフォガート」などはおすすめ。アイスクリームにクレマごとエスプレッソをかけると、香ばしさが一段と引き立ちます。
まとめ

エスプレッソの「クレマ」は、ただの泡ではなく、その一杯の出来栄えを映し出す鏡のような存在です。豆の鮮度や抽出技術によって変化する繊細な層は、見た目の美しさだけでなく、香りや味わいにも大きな影響を与えます。
ご自宅でも、少しの工夫とこだわりで美しいクレマを楽しむことができます。次回エスプレッソを淹れるときは、ぜひクレマにも注目してみてください。日々のコーヒータイムが、より豊かで特別な時間になるはずです。